ORPHEとASICSの共同開発で現在発売中のスマートシューズEVORIDE ORPHE。今回はORPHE TRACKアンバサダーの石川 範子氏にEVORIDE ORPHEを体験していただきました。今年2021年の5月の下旬には、石川氏がコーチを務めるTrippers Running Clubの練習会で、EVORIDE ORPHEを使ったランニングフォームの指導も行っていただいています。今回は石川氏にEVORIDE ORPHEを体験した感想や、練習会の様子などをお聞きしました。石川 範子氏石川 範子氏プロフィール健康運動指導士、健康運動実践指導者、障害者スポーツ指導員、スポーツプログラマー、ジュニアスポーツ指導員、スポーツリーダー、社会体育指導者等の資格を有し、ランニングイベント等における講師やサポーターとしても活動する。走ることが、例えば記録の向上などだけでなく、体の健康、さらには心の健康にも繋がり、ランナー1人1人の人生をより豊かにするものであるよう、怪我の予防にも重点を置いている。スポーツ障害を避けるために、自分の走りを見える化ORPHE Journal 編集部 : 昨年もTrippers Running Clubの練習でORPHE TRACKを取り入れていただきましたが、今回EVORIDE ORPHEを活用してくれた理由を教えてください。石川:私がコーチを務めているTrippers Running Clubで、ORPHEさんが開発しているスマートシューズの体験会を行うのは、今回で3回目になります。私は長年記録を目指して陸上競技やマラソン競技に取り組んできましたが、20代頃までは多少無理をしてもスポーツ障害が起きることはほぼありませんでした。ところが、年齢を重ねるに連れて、疲労感や痛みが慢性的になったり、大会後に風邪を引くことが多くなりました。仕事では、高齢者の方の身体機能の維持・向上を目指した運動指導に携わった時期があり、これらの経験の中で“競技者(ランナー)としての強さ(走力)” は “将来の健康“には繋がらず、“記録の向上”と“健康(身体機能も心も)”もイコールではないことを強く感じました。Trippers Running Clubでは、「走る」を楽しむをコンセプトに、長く走り続けるために怪我(故障)をしないような練習の組み立て方、ケア方法を知っていただくことを目的の一つとして、半年間で計12回の練習会を行っています。楽しむためにも、記録を向上させるためにも、スポーツ障害はできる限り避けたいですし、今のランニングが将来の健康に繋がるためにも、スポーツ障害を起こさないことは重要だと思っています。そこで、目視では分かりにくい見えない部分を数値化し、自分のフォームの改善点などを教えてくれるEVORIDE ORPHEを使って、フォームの分析をすることにしました。過去の2回はORPHE TRACKを練習会で使用しましたが、EVORIDE ORPHEはASICSと共同開発したスマートシューズということもあり、ランニングシューズの性能やアプリの機能がORPHE TRACKよりも大きく進化したと聞いたので、Trippersのメンバーや私自身の練習で使ってみたいと思いました。走りやすくなったシューズと、進化したアプリの機能EVORIDE ORPHEを試着中のTrippersのメンバーORPHE Journal 編集部 : 実際にEVORIDE ORPHEを体験したチームのメンバーの印象はどうでしたか?石川:前回のORPHE TRACKも体験しているメンバーが複数名いましたが、専用センサーORPHE COREが、ORPHE TRACKの時よりも半分ぐらいの大きさになっていて、驚いていました。ORPHE TRACKの時もセンサーの重さはそんなに感じませんでしたが、新しいORPHE CORE 2.0 は、重さが20gしかないということでシューズを履いた時も、全く違和感はありませんでした。さらにシューズ自体もASICSのEVORIDEが採用されているので、シューズの軽さや履き心地なども、みんな抜群に良くなったと言っていました。センサーデバイス ORPHE CORE 2.0その後、ASICS ORPHE RUN アプリとORPHE COREの接続を行い、記録を開始するのですが、「目標選択」という機能が新しく追加されていて、「スピードラン」「ロングラン」「セーフティラン」などの目標が選べるようになっていました。今回は、アップ時のフォームチェックとして、EVORIDE ORPHEを使ったので、みんなには「セーフティラン」を選択してもらい、走ってもらいました。ASICS ORPHE RUNアプリ 目標選択画面走り出すと、AIのコーチングの音声が流れてさらにみなさん驚いていました。音声コーチングでは、ORPHE TRACKの時にもあったストライドやピッチ、着地のパターンなどのフィードバックに加え、フォームを改善するための具体的なアドバイスもしてくれるようになっていてすごいと思いました。メンバーの中には、ひたすら着地を改善するためのアドバイスを言われ続けていた方もいましたが、もっと色々な場所や、色々なスピードで走った時にも試してみたいと言っていました。データの左右差を見ることで、怪我のリスクに気づかされたORPHE Journal 編集部 : 練習会後にも、石川さんにはEVORIED ORPHEを使い続けてもらいましたが、いかがでしたか?石川:私の場合、最近は夜に子ども達が寝た後で走りに行くことが多いので、一人で走っているときに定期的に音声が流れてくれるのは、心細さが軽減される面でも役に立ちました。また、メンバーからの感想でもありましたが、EVORIDE ORPHEは、中にセンサーが入っていることを感じさせないぐらい走りやすくなっています。コーチングの音声も、細かなフォームの変化でも、前の1分間と比較して改善されていれば「良くなっています。その調子です。」と言うようなアドバイスがあったり、表現や言い回しを変えてアドバイスしてくれたりもするので、面白く、分かりやすいと思いました。走り終わると総合評価で”A・B・C”などのランクが出てきますが、ランクは前回と同じでも、コメントが良くなっているということもあります。ランクの方に気が向いてしまいがちですが、ランクよりもアドバイスの内容を重視して練習やトレーニングに活かすのが大切だと思います。ASICS ORPHE RUNアプリ 評価画面例さらに、評価内容に合わせて、おすすめのトレーニングなどを動画でも紹介してくれます。走っている時に意識する箇所だけでなく、スポーツ障害が起きにくい体作りにも繋がり、自分だけでは取り入れることがなかったトレーニングを知るきっかけにもなるので、魅力的な機能だと思いました。個人的なデータとしては、私は過去に左足首に骨折歴があり、左右差が出ていることも自覚していました。痛めるのもいつも左足でしたが、妊娠~産後の走らない期間を挟んで、筋力が落ちている現状のデータでは、右足の方がスポーツ障害のリスクが高くなっていることを知りました。実際に張りも右足に出たので、気付きに繋がり、スポーツ障害の予防に役立てます。走る場所やスピードによる自分のフォームの変化を比較することで、走りの特徴や弱点を知ることができるORPHE Journal 編集部 : 石川さんは、どのようにEVORIDE ORPHEをご自身のトレーニングで取り入れていますか?またこれからEVORIDE ORPHEを使い始める方に向けて、ぜひオススメの活用方法も教えてください。石川:私は特にスポーツ障害の予防や、スポーツ障害のリスク軽減に役立てたいので、スポーツ障害に関わる数値を見ています。例えば、プロネーション角度や、着地衝撃、それぞれのデータの左右差などです。また、着地位置によって痛めやすい場所も違ってくるので、セルフケアに活用するために着地パターンも確認します。筋肉をほぐしてあげることでスポーツ障害の予防や改善に、より繋げることができるので、アプリで紹介してくれるトレーニングと合わせて、必要な箇所のストレッチやマッサージを行うことをお勧めしたいです。ASICS ORPHE RUNアプリ データのグラフ例EVORIDE ORPHEをトレーニングのメインシューズとして活用する場合、上り坂と下り坂とで着地衝撃がどれくらい変わるのか、スピードの変化によってプロネーション角度はどう変わるのかなど、走る場所やトレーニングメニュー(スピード)によるフォームの変化や、それぞれの評価を比較することで、自分の走りの特徴や弱点を知ることができ、よりスポーツ障害の予防や記録の向上に役立てることができると思っています。フォームチェックとして活用する場合は、同じトレーニングメニューのときを決めて、(前回のアドバイス、おすすめのトレーニングを取り入れながら)定期的にデータを取って、フォームの変化(改善状況)を確かめると良いと思います。今後のTrippersの練習会について石川:Trippers Running Clubの練習会は、半年間を1期として行っています。現在活動しているのが第4期で、第5期の活動期間は10月~翌年3月となります。こちらで現在募集中です。普段一人で走っているけど誰かと練習したい方や、疲労や痛みが出やすい方、記録を向上したいけれども伸び悩んでいる方など、ぜひ応募してください!