ランニング中、スネにズキズキ痛みが出て悩んでいる、そんなランナーの方はもしかしたらシンスプリントかもしれません。前回は、シンスプリントのタイプ別、症状ごとの対処法やシンスプリントになりやすいランナーの特徴について解説しました。今回は、シンスプリントを改善するための具体的なリハビリメニューについて解説していきます。シンスプリントを予防するリハビリメニューシンスプリントを根本から改善するためには、スネにかかるストレスを減らすことが重要になります。そのためには、柔軟性アップ、筋力強化、走り方の改善が必要になります。前回紹介した一般型、重症型のシンスプリントもそこを改善することで予防することに繋がります。シンスプリントの痛みが出やすいランナーには3つの改善ポイントがあります。足くびのつま先が上に向く(背屈)動きの柔軟性が低い股関節を使って蹴り出す(伸展)の動きができない骨盤を安定できず膝や足がブレてしまうシンスプリントを予防するためには、この3つのポイントを改善することが必要となります。リハビリのメニューでは、3つの改善ポイントごとにそれぞれストレッチ、筋力強化、ランニングドリルと3種類のエクササイズを紹介していきます。足首を上げる(背屈)動きの柔軟性アップ1. 足を背屈させるストレッチふくらはぎの柔軟性を高め、背屈方向に動きやすくします。やりかた頭は上に引っ張られ、下半身は床を押すようなイメージで姿勢を安定させる 姿勢を維持したまま足を一歩前に出して前後に開き、上半身で壁を押すように力を入れる 壁を押すときに踏ん張ることで、後ろ足に力が入りながらふくらはぎがストレッチされる 回数左右各20秒×3回ポイント地面と壁を押すイメージを持つことで、ふくらはぎがより伸ばされる注意点かかとが上がったり、後ろ足の膝は曲がらないようにする2. 背屈の安定化トレーニング足の背屈を維持する筋力をつけ、バランスを強化します。やりかたふくらはぎをストレッチする姿勢からもも上げのように膝を持ち上げる(足首はキープ!!)足首をキープしたまま、上げている脚を外に開く開いた状態でも足首の背屈、姿勢が崩れないようにキープする回数足を開いて戻すを繰り返す(左右各15回)ポイント足首・膝・股関節を一直線にすると力が入り、姿勢が維持できるようになる注意点足首の力が弱いと、姿勢が崩れてしまうので、姿勢が崩れない範囲で行う3. ランニングの蹴り出しを強化するトレーニング蹴り出し時に親指の力を使えるように鍛えます。やりかた足の背屈を維持したまま、足を前後に開き、後ろ足の親指で床を押していく膝を床に近づけると、親指を反る角度が増える反る角度が増えても、床を押す力が抜けないようにする(足が外に逃げないこと)回数上下動を繰り返す(左右各15回)ポイント足首の背屈と親指を反りながらも床を押す力が抜けないようにする注意点かかとが外に傾かないように、足は真っ直ぐ立てるイメージ股関節の蹴り出し(伸展)の動きの改善1. 股関節伸展の動きづくり股関節の伸展方向への可動域を広げます。やりかた骨盤が床に直角になるように横向きで寝る(下の脚を前に出しておくと良い)真っ直ぐな姿勢を維持したまま、足くびを持ち、前ももをストレッチするお腹の力を入れて、さらに後ろへと膝を引き、前もものストレッチを増やす回数左右各20秒×3回ポイントお腹の力で骨盤を安定させてストレッチするとより効果的注意点ストレッチばかりを意識すると腰が反ってしまうので、姿勢が崩れない範囲で行う2. 股関節伸展の筋力トレーニング体幹を安定させた状態で股関節伸展の筋力をアップします。やりかた仰向け姿勢になり、腰が反らないようにお尻、背中、肩を床につけておく体幹で姿勢を維持しながら、股関節で床を押す力を使ってお尻を持ち上げる骨盤の位置を保ったまま、片脚を上げ、左右入れ替える(この時の軸足のお尻で姿勢を支えること)回数脚を入れ替えて、左右各20回ずつポイント体幹で骨盤が横へのブレを、軸足のお尻の筋力でお尻が下に下がらないようにキープする注意点お尻の力に負けてしまうと腰が反ってしまうので、腰が反らない範囲でお尻を上げること3. ランニングの推進力を鍛えるトレーニング軸足の筋力で前への推進力を得られるようにします。やりかた頭が上にお尻が下に伸びた姿勢を維持しながら、前脚で床を押しておく(足は背屈させる)前脚側に重心をのせ、地面を押しながら、股関節を伸展させて起き上がる床を押して起き上がると同時に、後ろ足を引き上げ前に持ってくる(この動作を速く行う)回数上下動を繰り返す(左右各15回)ポイント上半身はランニングのような前傾姿勢を保つこと 注意点:前ももの力に頼りやすいので、股関節(特にお尻)から力を入れる感覚を覚える骨盤を安定できず膝や足がブレの改善1. ブレを防ぐ中臀筋のトレーニング着地時に骨盤のブレを防ぐために中臀筋を強化します。やりかた横向きになり、骨盤を床と垂直にする姿勢を作る(手で骨盤が回旋しないように押さえておく)上の脚を股関節の付け根から上に持ち上げていく上半身と真っ直ぐの位置に上げることでお尻の外側かつ後ろに力が入る回数上下動を繰り返す(左右各15回)ポイント股関節の付け根から上げることで前ももの負担を軽くしてお尻を使える注意点足が前側(屈曲)してしまうと、前ももを鍛えてしまうので少し後ろに引く(伸展)2. 片脚でのバランス力トレーニング片脚支持で骨盤のブレを防ぐために中臀筋を強化します。やりかた片脚立ちで姿勢を真っ直ぐに保ち、肩と骨盤の水平を意識する姿勢を保ったまま、スネを前に倒していきながらおじぎ姿勢を作るおじぎ姿勢でも肩や骨盤の位置がブレないようにお尻の力で支えること回数おじぎを繰り返す(左右各15回)ポイント足首の付け根(スネを倒す)から動かし始めることで姿勢を維持しやすくなる注意点骨盤がねじれたり、肩が下がらないように体幹の力を使うこと3. 安定性と推進力のトレーニング軸足の床を押す力を利用して脚を運ぶトレーニングです。やりかた姿勢を維持したまま、右足で床を押して左脚を真っ直ぐ上に引き上げる(片脚立ちの状態)右足で床を押す力を入れたまま、ハードルをまたぐように左脚を横方向に移動させる右脚で最後まで床を押しながら左脚が床に着いたら左脚が軸足になり、右脚を引き戻す回数ステップ10往復ポイント軸脚で床を押す力があると、脚を引き上げるのが楽になり横へ大きく踏み出せる注意点腰が丸まるとお尻の力が使えなくなるので、体幹を維持しておくことまとめ今回はシンスプリントを改善するリハビリメニューを紹介しました。これらのトレーニングを継続的に行うことで、痛みの軽減やシンスプリントの予防にも繋がります。シンスプリントで悩んでいる方は、ぜひ日頃のトレーニングに取り入れてみてください。また、あまりにも痛みが強い方や、リハビリメニューを行っても症状が改善されない方は、整形外科や治療院の先生に診てもらうようにしましょう。