ランニングをしていてスネの内側が痛くなることはありませんか?シンスプリントはランナーに多い怪我でもあり、休んでもなかなか痛みがとれない、長期間痛みが引かないなど、悩みが多い怪我でもあります。今回は、シンスプリントが発症してしまう原因とシンスプリントを改善するためのトレーニングについて2回に分けてご紹介します。前編では、シンスプリントのタイプ別、症状ごとの対処法やシンスプリントになりやすいランナーの特徴について解説します。シンスプリントのタイプシンスプリントは硬い路面での練習、足首を下に向ける動きを繰り返し行うことによる筋肉の過緊張が原因と言われています。また、シンスプリントは痛みの出る部位やタイミングによって2つのタイプに分類されます。一般型スネの内側や後側の広範囲に痛みがある。蹴り出し時に痛むことが多い。一般型は、名前の通り一般的に多いシンスプリントです。すねの内側やすねの後方に痛みが出現し、痛みが出る部位も広範囲に及ぶことがあります。ランニング中では蹴り出し時に痛みが出るのが特徴です。重症型スネの骨上にピンポイントで痛みがある着地時に痛むことが多い重症型のシンスプリントは、すねの骨上にピンポイントで痛みが出てしまいます。ランニング中は着地時に痛みが出るのが特徴です。骨上の痛みの方が改善まで時間がかかる場合も多いです。シンスプリントは痛みが出る場所、痛みが出るタイミングによって、対処の方法が変化していきます。まずは、自分の痛みがどちらのタイプに分類されるか確認してみましょう。シンスプリントの症状の変化シンスプリントは繰り返されるストレスによって起こる慢性障害であり、捻挫のように突発的に生じるものではないのです。初期の状態ではランニング後に違和感を感じるだけですが、重症化すると安静時にもうずくような痛みが持続することもあります。なので、重症化を防ぐためにも、初期の状態で正しく対処することが重要です。シンスプリントのステージステージ1:ランニング後に痛みが出る。ステージ2:ランニング中に痛みがあるが、パフォーマンスに影響はない。ステージ3:ランニング中に痛みがあり、パフォーマンスが低下する。ステージ4:安静時にも慢性的に持続する痛みがある。※ステージ3以上の場合は、ランニングを制限して痛みを改善する必要があります。シンスプリントの原因シンスプリントを発症するランナーは、筋肉の緊張だけでなく、足のアライメント(骨の並び方)に問題がある場合も多いです。筋肉の緊張であれば、安静にしたり、マッサージで改善するのですが、足のアライメントの場合、その根本的な原因を対処して、痛みが改善する必要があります。一般型のシンスプリント一般型に多い原因は、「荷重時に足のアーチが低下すること」です。本来、足のアーチは荷重時に内側への倒れ込みを防ぐ役割を担っています。しかし、足のアーチが低下することで、内側への倒れ込む角度が大きくなり、それを制御しようと、すねの内側の後脛骨筋に過剰な負荷がかかります。この過剰な負荷が、後脛骨筋筋の炎症や骨膜を引っ張ることによる骨膜の炎症が原因であると言われています。荷重時の足のアーチ低下になる原因として、下記の6つが挙げられます。かかとが内に倒れてしまう回内足お尻の筋肉(中臀筋)が弱い股関節伸展筋力が弱く、足関節を使いやすい骨盤を安定させる体幹筋力が弱い足関節の背屈(つま先が上に向く動き)の制限後脛骨筋の筋力低下後編では、荷重時の足のアーチ低下を防ぐトレーニングをご紹介します。重症型のシンスプリント重症型に多い原因は、「着地時の衝撃吸収がうまくできないこと」、「かかとが外に倒れ、すねにひねりのストレスがかかること」です。本来、着地時の衝撃を吸収するために、足関節、膝、股関節がうまく連動して衝撃をコントロールしています。しかし、足関節の硬さにより、膝や股関節での衝撃吸収ができずうまく行えず、衝撃の負荷が大きくなります。また、かかとが外に倒れることで、すねに外側に捻れる力が生じて、骨上に痛みが発生するのです。着地の衝撃が吸収できない、かかとが外側に倒れる原因として、下記の4つが挙げられます。足関節の背屈(つま先が上に向く動き)の制限かかとが外に倒れた状態での着地股関節内旋の柔軟性低下脛の過剰な外旋シンスプリントになりやすいランナーの特徴一般型、重症型とそれぞれ原因は異なりますが、どちらも慢性的な負荷がかかり続けることで、筋肉や骨膜、骨にストレスがかかり痛みが表れるのです。シンスプリントになりやすいランナーは下記の特徴が当てはまります。フィジカル面ランニングフォームで股関節をうまく使えず下腿ばかり使う股関節の筋力が弱い外反母趾、扁平足など他にも痛みがある足関節の捻挫歴がある体重が増加した使っている物ランニングシューズが合っていないインソールが合っていない練習環境急激に練習量を増やした硬い路面を走ることが多いストレッチを取り入れていない痛みが出た時の対処法シンスプリントは痛みのステージを4段階に分けることができます。ここでは、ステージに合わせた対処法をまとめていきます。ステージ1:ランニング後だけ痛みがある初期段階なのでセルフケアをしっかり行いましょう。特に重点的に行いたいのが、ふくらはぎの柔軟性を高め、足関節が背屈(つま先が上に向く)動きをしっかりできるようにしましょう。ステージ2:ランニング中に痛みがあるが、パフォーマンスに影響はないこれ以上悪化させないように、ケアの時間を多くとるようにしましょう。ふくらはぎと股関節の柔軟性を高め、股関節の動きが狭まらないようにすることが重要です。また、練習メニューや練習環境などを見直してみましょう。練習量が急激に増えていないか、無理な練習をしすぎていないか、ケアの時間は取れているかなど、振り返ってみましょう。ステージ3:ランニング中に痛みがあり、パフォーマンスが低下する痛みが悪化しているので、ランニングを中止することをお勧めします。炎症が強くなっているので、まずは炎症を落ち着かせることが大切です。一般型の痛みであれば2週間、重症型であれば4週間の安静が必要と言われています。ステージ4:安静時にも、慢性的な持続する痛みがある痛みが強く、疲労骨折をしている場合もあるので、病院への診察をお勧めします。痛みの根本原因への対処も必要となるので、ランニングを制限して、負担のかからない走り方を作るためにリハビリをしっかり行いましょう。まとめ今回は、シンスプリントのタイプ別の症状と対象法について解説しました。シンスプリントは、完治に時間がかかってしまう障害なので、痛みが出た初期の段階で早めに対処することが重要です。すでにシンスプリントで悩んでいる方、シンスプリントの疑いのある方は、まずは自分がどの痛みのタイプに分類されるか、そしてどの症状のステージに当てはまるのか、しっかりと確認して対処していくようにしましょう。次回は、「シンスプリントを改善するための具体的なリハビリメニュー」について解説していきます。