速く、あるいは長く走るためのトレーニング方法は多様です。しかし実は走る前段階から、パフォーマンスを左右する行動があることをご存じでしょうか?それが、今回ご紹介する“靴紐の結び方”です。脱ぎ履きが面倒で緩めだったり、急ぐあまり適当に結んでいたり。これだけで、気づかないうちに100%の力が発揮できなくなっているかもしれません。あるいは靴紐が適切に結ばれていないことで、怪我に繋がってしまうことも…。私も子供から大人まで陸上やランニングを指導していますが、必ずと言ってよいほど最初に靴紐をチェックします。そして結び方を教えて比べてもらうと、皆さん「まったく違う!」と驚かれるものです。ここでは靴紐の結び方を変えることで得られる効果を解説しながら、おすすめの結び方についてもご紹介します。是非とも、さらなるパフォーマンスUPに向けた参考にご覧ください。シューズがフィットすることで期待できる効果靴紐はシューズを足にフィットさせるためにあります。では、それによってどんなメリットがあるのでしょうか?ここではランニング時に期待できる効果について、具体的に4つを取り上げてご説明します。1. 着地時に力の伝達が行いやすくなるしっかりシューズが足にフィットしていないと、足裏とインソールの間に空間が生じてしまうでしょう。この状態では、足が地面に踏み込んで着地衝撃を反発するまでにタイムラグが出来るため、力の伝達が非効率になります。時間にすると一瞬のことですが、この積み重ねは走る速さや疲労にも関係する重要なポイント。常に足裏がインソールに接するようシューズをフィットさせれば、走りが効率的かつスムーズに行えます。2. 着地時に足のブレを防ぐ着地する際には、どうしても左右前後に動きがちです。特にシューズがフィットしていないと、シューズの中で足が動きやすくなります。すると着地反発が前方以外に向いてしまったり、身体がブレてフォームが崩れたり。ランニングのパフォーマンス低下に繋がるでしょう。しっかりシューズをフィットすることで、こうした着地時のブレを防ぐことが可能です。その結果、着地反発や蹴り出しの力を前方向に伝え、身体を安定させて走り続けることができます。3. 靴擦れが起こりにくくなるシューズが緩いと、シューズと足との間に摩擦が生じます。マラソンのような長距離走では、この摩擦が何度も繰り返されることで「靴擦れ」が起こってしまうかもしれません。靴擦れが起きれば、その痛みで走れなくなることも。シューズをフィットさせることで摩擦を軽減し、靴擦れが起こりにくくなります。4. 捻挫や爪の痛みなどの怪我を防ぐシューズが緩くてシューズ内で足が動いてしまうと、身体を上手く支えられずバランスを崩して足首を捻ってしまう(=捻挫)かもしれません。あるいはつま先が何度もシューズに押し当てられることで、爪が痛んだり内出血を起こしたりする可能性もあります。靴紐をしっかり結んでシューズをフィットさせれば、こうした怪我を回避できるでしょう。まずは自分の靴をチェックしてみよう!靴紐の結び方を覚える前に、まずは現在の状態をチェックしてみましょう。いつも通りにシューズを履いて、以下の点を確認してください。足を浮かせて振ったときシューズが余計に動かないか足首周りや踵部分がスカスカになっていないか(指を差し入れてみる)シューズのベロ(タン)部分と靴紐の間がブカブカになっていないか2段ハトメのシューズで補助穴(一番上にある穴)まで使えているかこれら1つでも該当するものがあれば、靴紐がちゃんと結べていないかもしれません。この後にご紹介する結び方を参考に、しっかり足とシューズをフィットさせてください。靴紐を結ぶ際に意識したいポイントではシューズを足にフィットさせるため、どんな点を意識して靴紐を結べば良いのか。ここで4つのポイントを解説します。1. ベロ(タン)をしっかり伸ばすベロ(タン)をしっかり伸ばす足の甲に当たる部分である「ベロ(タン)」は、しっかり伸ばして折れ曲がらないようにしましょう。靴紐を結んだまま無理やり履くと、このベロが曲がって中に入ってしまうことがあります。また、左右も伸ばさずに折れたまま履いていることは多く、違和感や摩擦などの原因になりかねません。伸びた状態で、足の甲にピッタリと密着させながら靴紐を結びます。2. シューズ全体で足を包み込むタン(ベロ)だけでなく、足に接する部分全体を密着させましょう。両手をシューズの外側に添えて、包み込むように抑えながら靴紐を結ぶのがおすすめです。これが密着しない状態では、シューズと足の間に空間ができたまま結んでしまうことになりかねません。3. 補助穴を使って足首を固定するランニングシューズには2段ハトメのものが多く見られます。この2段ハトメに設けられているのが、もっとも足首側に位置する「補助穴」です。これまで存在走りながらも、何に使うのか分からずにいた方は多いかもしれません。この補助穴を使うと、よりしっかりと足首をフィットさせられます。これは「ヒールロック」「ダブルアイレット」などと呼ばれる結び方です。補助穴の使い方上から2番目の穴に内側から紐を通しますその紐を上から補助穴に入れ、左右両方に輪を作りましょう左の輪に右の靴紐を、右の輪に左の靴紐をくぐらせます靴紐を引いて輪を閉じます輪を靴紐で引っ張るようにして、何度か繰り返しましょう程よく足首部分がフィットしたら靴紐を結びます4. つま先側は特にしっかり結ぶフィットさせると言っても、無理に強く結ぶと足が痛くなります。血流を妨げないよう、調整するようにしてください。中でもしっかり結びたいのが先に取り上げた補助穴のある足首と、つま先側の部分です。足の先端部がちゃんと固定されることで、シューズ内で足が動きにくくなるでしょう。また、シューズにつま先が押し当てられるのも防ぐことができます。まとめ靴紐の結び方を変えるだけで、シューズを履いている際の感覚が大きく変わります。そして実際に走ってみれば、パフォーマンスの違いも実感できることでしょう。まずは現状を把握し、ポイントを押さえて靴紐を結び直してみてください。ただし靴紐と言っても、実は様々な結び方があります。恐らく多くの方は、昔から使っている慣れ親しんだ結び方を行っているのではないでしょうか。次回はフィット性や解けにくさなどの点から、ランナーにおすすめの具体的な結び方をご紹介します。オススメの記事ランニングのパフォーマンスUP!怪我予防にもつながる、靴紐の結び方 後編5分でOK!ランニング前におすすめの動的ストレッチ – 上半身編アンバサダーに学ぶ!スマートシューズ ORPHE TRACK の活用方法 前編体幹を鍛えてレベルアップ!ランナーにおすすめの体幹トレーニング5選