EVORIDE ORPHEは2020年にMakuakeでのクラウドファンディングで1200人以上に販売した「シューズがコーチになる」というキャッチフレーズのスマートシューズ。アシックスからは21年度になり新しいレーシングシューズが発表され話題になっていますが、EVORIDE ORPHEも引き続き販売中です。EVORIDE ORPHEを使用しているランナーのインタビュー記事を掲載する“EVORIDE ORPHE ユーザーインタビュー”の第2弾は、新居田晃史さん。20代半ばから“月間走行距離150kmメソッド”を確立してマラソンを2時間31−32分台で安定して走れていたものの、近年は故障がちで新たな練習法を模索中。「EVORIDE ORPHEで計測したデータを見ながら、新しい練習法を確立するためのヒントを得られればと思っています。」と話す新居田さんのインタビュー記事をお届けします。月間150kmメソッドの確立高校時代に陸上部だった新居田さんは、社会人になってマラソンに取り組み始めます。とはいえ、初マラソンで「後半に脚が止まってしまって…」と、マラソンを走ったことのあるランナーなら誰もが体験するマラソンの壁を感じたといいます。それからコツコツと練習に励み、当時の月間走行距離250km程度。そこでマラソンサブ2.5のためのベースを作り上げ、2010年の別府大分マラソンで現在の自己記録である2時間29分56秒をマーク。その後、20代半ばから30代前半にかけてマラソン練習以外では仕事や育児と、多忙な日々を過ごします。その時に行き着いたのが、ジョグの走行距離を減らす分、後半にペースを上げる“ビルドアップ走”を中心としたメニューの流れ。「ペースを上げていく感じが好きです。(当時は)インターバル走でもレースでも最後が速くなるように走っていました。」効率の良いメニューとは、ある程度の基礎が構築できているからこそできること。新居田さんは月間走行距離を150km前後まで落としつつも、そのやり方でコンスタントにマラソン2時間31−32分台を当時キープしていました。「忙しくても8時間ほどの睡眠時間は取りたかったので、ジョグの練習を削りました。それでも競技のパフォーマンスを落としたくなかったので、週2回走れる時は質の高い練習をと。そのやり方である程度結果を出せたので、プライベートや家族と過ごす時間も確保できました。」しかし、その月間150kmメソッドがうまく続いたのは、新居田さんが30代前半の時まででした。加齢による回復力の低下で故障を経験ある日、新居田さんは坂ダッシュの練習中に右脚のハムストリングスの筋断裂(肉離れ)を発症。それまでにない調子の良さを感じていた、という矢先の苦い出来事でした。そして、復帰過程でそれまで定番の練習だった12kmのビルドアップ走に固執してしまって本来の練習の目的とずれていた、と苦笑いを浮かべながら当時を振り返ります。「それまでにやっていた12kmのビルドアップ走(ペースは1kmあたり3:40 − 3:30 − 3:20と速くなっていく)のタイムに固執しすぎていて、本来は余裕を持つためのビルドアップ走なのに中盤ですでに精一杯でした。故障のきっかけは突然のインターバルだったり、ロングランだったりするのですが、復帰段階なのに元の体が覚えているペースでやろうとするから故障に繋がっていたんだと思います。」加齢によって回復力の低下がみられる中で以前のメニューに固執していた新居田さんは、34歳から35歳の間にかけて膝、アキレス腱、足首周りなどを立て続けに故障。また、仕事時のテレワークの影響から坐骨神経痛も経験したといいます。故障の原因究明に役立つモノ※現在発売しているカラーとは異なります。それまでのやり方から改善を図らないと故障を繰り返すことは明白でした。現在でも新しいトレーニング方法はまだ模索中とはいえ、EVORIDE ORPHEのような数字でわかるような“データ”を重視しているといいます。新居田さんがEVORIDE ORPHEで測定したデータを見る時に特に注目しているのは、キック力とその左右差。特にペースを上げ下げした時の変化を見ているといいます。「キック力の測定結果を見ていると左脚の変化が強く出るんです。ペースを上げ下げした時、右脚(水色)のキック力は一定なんですが、左脚(オレンジ)の変動幅が大きい。でも推移を見ると左脚は少ない力で走れている時があることにも気づきました。」「右脚の変動幅は少ないですが、疲労は蓄積するものなので、常に一定の負荷がかかり続けてる右脚が故障しやすくなっていたのかもしれませんね。」プロネーションといった他の測定値も合わせて見ること大事ですが、ポイントの部分は以下の2点。少ない力で走れているか(キック力の数値に出ると考えている)データの変化を見て故障の予兆を掴む現在はデータを重視している新居田さんですが、今後追求していくのが“効率的な走り”だといいます。「筋力を使わずに走るというよりかは頑張って蹴らなくても前に進むという感覚で、体のあらゆる部分を満遍なく使えるようにしていく、そんな感じですね。そのためにもっと、ちゃんと体を動かせるようになりたいなと。そういった動きの精度の部分が、キック力の数値に反映されるのではないかと思っています。」今後のトレーニング方法について新居田さんは“月間150kmメソッド”の少ないトレーニング回数ゆえの高出力(ペースを上げてしまうこと)が、自身の30代での故障の原因だったと振り返ります。とはいえ、ジョグで脚を作るといったある程度の時間をかけるトレーニング方法を採用するよりも、現状を改善するためのヒントになるのはデータだと考えています。「EVORIDE ORPHEの1足をどう活用するかですね。そこで、改善のためのヒントを得られればいいかなと。トレーニングの根底にあるのは“パフォーマンスアップ”ですが、その時のデータを見たいんです。まさに、リモートでコーチングを受けているような感じですね。」新居田さんは故障を減らすことにも繋がる効率的なフォームの獲得を目指しています。そして、データの変化の過程を見つつ新しいトレーニング方法を確立するために試行錯誤の日々が続きます。新居田晃史(Akifumi Niida)さんプロフィールDream Runners AC(DRAC)所属。マラソンPBは2時間29分56秒(2010年別大)2011年(27歳)から“月間走行距離150kmメソッド”を確立。ランニング以外にも仕事/育児/プライベートのバランスをとりつつ、少ない練習量ながらもマラソンでコンスタントに2時間31−32分台をマーク。加齢でリカバリー力が落ち、故障が増えたことをキッカケに次の練習法を模索中。オススメの記事EVORIDE ORPHE ユーザーインタビュー#1 中嶋友里さんEVORIDE ORPHEでランニングの“新しい探究”を体験しよう!【ランナー必見】2分でできる!着地改善トレーニング