ランニングが原因となって起きる怪我に、「ランナー膝」が挙げられます。これはスポーツ障害の一つで、正式には「腸脛靱帯炎」と呼ばれるもの。膝周辺の関節に痛みが発生し、これに悩まされているランナーは少なくありません。では、なぜランナー膝になってしまうのか。その原因と対策について、ランニングフォームや練習内容などの観点から解説します。ランナー膝の原因ランナー膝は、ランニングにおいて起こりがちな怪我の代表格と言えるでしょう。ランナー膝の原因は運動時に膝関節が屈伸し、これが繰り返されることで生じる腸脛靭帯の摩擦。腸脛靭帯が大腿骨外顆(がいか)と摩擦することで炎症が起き、やがて痛みが発生するのです。ランニング以外でも、膝の屈伸動作が多いバスケットボールや自転車競技などでもよく見られます。主には過剰なトレーニング、いわゆるオーバーユースによって痛みに繋がるケースが多いでしょう。また、硬い路面ばかり走ることで膝関節に大きな負担が掛かったり、柔軟性・筋力が低い状態で無理が生じたりすることも原因となります。また、着地後動作によって膝関節に捻られ、通常より大きな摩擦が起きることも考えられるでしょう。そのためランナー膝に悩まされている方には、トレーニング計画や日頃からのケア、そしてランニングフォームの改善などが求められます。ランナー膝を起こさないための対策実際に痛みが起きた場合は、医療機関や治療院などで診察を受けてください。しかし痛みが治っても、根本的な解決に至るわけではありません。ランナー膝が起きた原因を改善しなければ、また同じことを繰り返してしまいます。ここで具体的な対策をいくつか取り上げますので、ぜひ実践してみてください。1. トレーニング内容の見直しオーバーユースを避けるためには、トレーニングに計画性を持たせることが大切です。例えば「毎月○○km走る」と決めて、無闇に毎日走り込んでいないでしょうか。足に痛みや疲労感があるにもかかわらず、義務のようにトレーニングを重ねるランナーは少なくありません。あるいはインターバル走をはじめとした高負荷なトレーニングを、速くなるためにと連日のように行っているケースも見受けられます。しかしこうしたトレーニングは、むしろ逆効果です。疲労や違和感、痛みがある場合には走らないこと。そして適切な休息を挟み、高負荷なトレーニングは週2~3回に留めるなどトレーニング計画を立てましょう。連日のように厳しいトレーニングを重ねるより、低負荷のトレーニングや休息を入れながらコンディションの高い状態を維持してください。そうすればランナー膝などの怪我が起きる可能性は低くなるほか、トレーニングの効果も高まります。2. 十分なウォーミングアップウォーミングアップは大切な練習の一部です。軽いジョギングやランニングドリルなどで少しずつ身体を動かすことで、関節の動きを良くしながらトレーニングの準備を整えましょう。これが不十分なままいきなり走り込みなどを始めると、膝関節に無理が生じてランナー膝の原因になります。3. トレーニング後のセルフケアトレーニング後はシャワーで汗を流して終わり。そんなランナーは多いかもしれません。しかしこれでは、トレーニングでの疲労が抜けないまま蓄積されてしまいます。柔軟性も低下し、ランナー膝が起こりやすくなるでしょう。そのため、トレーニング後はしっかりセルフケアを行うことが大切です。温浴やマッサージ、そしてストレッチを欠かさず行うことで、疲労が抜けやすくなり怪我予防に繋がります。4. ランニングフォームの改善ランナー膝にならないためには、膝関節に負担の少ないランニングフォームを獲得しましょう。例えば身体より前に踵から着地すると、膝に衝撃が集中してしまいます。また、つま先が外を向いて巻き込むように着地すると、着地のたびに膝に捻じれが生まれるでしょう。こうしたランニングフォームの改善は、まず自分の走りを確認すること。動画を撮ってみたり、誰かに見てもらったりするのがおすすめです。ランニングフォームを改善することで、同じ距離を走っても膝関節に掛かる負担は大きく軽減できます。怪我を「仕方ない」と思わないことランナーの中には、「怪我しても仕方ない」「スポーツと怪我は切り離せない」と考えている方がいるでしょう。しかし、決してそんなことはありません。怪我の原因を知り、対策を講じることで避けられます。せっかくトレーニングを重ねても、その怪我で走れなくなっては本末転倒です。ここで取り上げた内容を参考に、ランナー膝とは無縁のランニングライフを手に入れてください。